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2012年04月23日

一命


このブログはこれまで
アンチ三池の立場をとってきたのだが


しかし最近の時代劇二本を見る限りだけはべつだ
この人の作る時代劇は面白い!

この「一命」と
その前の「十三人の刺客」はどちらも超がつくほどお勧めだ

「十三人の刺客」についてはその面白さを熱狂的に語るブログその他評論は数多くあるので
適当に探して読んでもらいたい
ここでは「一命」のことに絞って書く

今作では竹中直人が出ているのだが
私は以前から竹中直人のコント芝居が映画を台無しにすると思っていた
たとえば名作「Shall weダンス」などがそうだ

(「Shall weダンス」公開当時、だれもが絶賛する中おすぎがこれをTVで指摘していたのを記憶しているが、当時私も「その通り!」と膝を打ったものだ)

しかし、この映画で竹中直人は何もしない。
せっかく竹中直人をキャスティングしたのだから
いろいろ面白いことをやってもらおうじゃないか的なところがない
つまり物語の面白さ一本で勝負しているということだ

竹中の例を上げたのは
三池映画というのは8割方、上のような動機で無駄にシーンが増えたり、寒いギャグが増えたりして冗長な作品が多かったからだ


しかし、この映画は実にストイックな
必要最小限のものだけを必要な場所に置く、
いつもの三池作品では見られない端正な映画であった

ライムスター宇多丸さんとの対談もポッドキャストで聞いたが
それによると、旧作のリメイクである時代劇2本は、基本的に先達へのリスペクトがある、ということを本人が言っていた

まあとにかく
必要な俳優だけをそろえ、脱線しないこの映画の魅力は
主人公の市川海老蔵のフレッシュさ、これに尽きる。

異論はあるだろうが私はこの人のこの映画でのフレッシュさは、
「ゴッドファーザーPART2」で世界の映画ファンがロバートデニ―ロを初めて目にしたときと同種のものだと思う

要するに、いままでこういう居住まいの男を映画の中で観たことがない、というある種の衝撃のことだ

(人によっては、笑い飯西田がM−1で全国区に初めて姿を現した時のフレッシュさ、と言った方がぴたりとくるかもしれない。実際、海老蔵が上目づかいでセリフをしゃべる時、笑い飯西田とそっくりの表情になる。)

このフレッシュな男と対峙するのが、日本映画屈指の名優、役所広司。
この2人の問答がクライマックスとなる終盤は、映画における芝居、のまじりっけなしの上質の興奮がある。

映画だよ映画!

ラストの殺陣も長すぎず丁度いい。

(ここからちょっとネタばれ)

特に私が気に入ったのは、ラスト近く
海老蔵が一夜にして天涯孤独となるくだり。

守るものも、恐れるものもなく、完全に“自由”になる。

このシーンを見たとき、町山智浩さんが熱弁をふるっていた“自由”の定義、を思い出した
(これもライムスター宇多丸さんのポッドキャストから)

見ながら「ああ、なるほどこれが“自由”か」と



そんなわけで
いい映画すよ、これ。
アンチ三池の人にこそおすすめ






十三人の刺客 通常版 [DVD]


ラベル:一命
posted by となーす at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月11日

ウォーキング・デッド シーズン1


ゾンビ物TVシリーズである。
やっばり「ゾンビ」って面白いなあ、とつくづく思う。
秋元康の言う『カルピスの原液』理論で言うと
『ゾンビ』というカルピスほど薄められて世界中で稼いだ商品てないんじゃないだろうか。
世界中で作られてるからね。


しかし思うにやはりアメリカ産が一番面白い。
アルジェント=ロメロの『ゾンビ』がベストだと私は思うが、
まわりをゾンビに囲まれて孤立した人間の葛藤の部分をえがかせたら、アメリカ・ゾンビが一番上手い。
幌馬車対先住民のノリなんだよね、要するに。



この『ウォーキング・デッド』の新味は
世界がゾンビに支配されたのち、病院で目を覚ました主人公が、離れ離れになった妻と息子を探す、という設定で、
それなのに早々と2人が生きていることが観ている側には明かされる点で
しかも、その妻は主人公は死んだものと信じきっており、主人公の元相棒の警官と新しい恋を始めちゃっているのである。
しかも肉体関係まで結んでいるのである!

これはなかなかピックリしましたよ。
たしかにいわれてみれば、ゾンビ映画を観ると必ず興味が湧くのが、生き残った側の人たちの“性”事情
だったりする


あのアルジェント=ロメロの『ゾンビ』だって、
登場人物4人のうち彼女のいない男2人は、どうやって処理してたんだろう、て思うし。

そのへんをまっ正面からやっている作品は、この作品くらいじゃないだろうか。すくなくとも私は観たことがない

主人公の妻が他の男に抱かれて恍惚とした表情をするのを観て、こちらの“絶望感”が、何故かぐっと深まる。


これが第1話ですからね。
続きがみたくなりますよ。そりゃ。

フランク・ダラボン製作、だそうだ
考えてみればあの『ミスト』は『ゾンビ』とかぶる部分が多い。



posted by となーす at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | TVドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月08日

ベロニカは死ぬことにした




“なんで?”
“いまさら?”
なんですが、
コエーリョ原作と筒井ともみの組み合わせにそそられて。
それともちろん真木よう子。

若い監督のようで、
精神病患者たちのふるまいや言動がいかにも、な感じで演出されているのが、観ていて気持ち悪かったが、
40分ぐらいに出てくる真木よう子の長いセリフのところからぐいと引きこまれた。
真木よう子のセリフ回しがすばらしかったからだ。
ここまでのシーンで、彼女の繊細な表情の芝居と野太い舞台調の発声がちぐはぐだったのが、ここでびったり来る、
そういう気持ち良い場面でもあった。

そこから、どういう経緯をへて話題のベッドシーンに至るのか、興味津々となり、
そこから以降
途中に挟まれる、市村その他のベテラン勢のやりすぎ演技のオンパレードもかろうじて我慢して観続けられることとなった。

実際、市村のフワフワして品格のない芝居を筆頭に、基本的に演出が大仰なのである。
淡々とやった方が真にせまるのにな、というところがいっぱいある。

そんなわけで進行するにつれ、この映画の観るべき個所はほぼ全面的に真木よう子の何というか、観客席に向かって『どうすればリアルに伝わるだろう』という真摯な情熱
ただひとり、になってくる

あの、例えば『フラガール』のような、スタッフや演者たちの一体感はこの映画にはない。
(そんなふうなものを作ろうとしている気配はあるのだが)

ない
のだが…

ここからはもう
私の、邪推も邪推、
ほぼ妄想に近い感想なのだけれど、

上のような構造のこの映画を観ていくうち、
私は、
『人生とは感情の旅路』である、という言葉を思い出した。

現象それ自体は
いいも悪いもない、
完全にニュートラルな存在で、
それを受け止める個人が、どういう感情を引き起こすかでその現象の意味は決定される。

(最近、私はスピリチュアル系の本を山ほど読んでいるので、こういう言い回しはさんぞお目にかかっている
原作のコエーリョさんは『アルケミスト』で有名なスピリチュアル系作家です)

ということの意味を改めて彼女の豊かな芝居で、再認識させられたのだ。

外の世界で起こる出来事は人生にとってなーんも関係ない、内側から湧き上がる感情のただ単なる羅列がその人の人生なのである。


こんなことを考えているうち
終りが近づく。

ラストに至り、
この映画全体がメタ構造になっていたことを観客は知る。
おそらくこの部分は原作にないのだろう。


私は「ああ、なるほど」と思った。
妄想の入れ子であるなら、全ての違和感はギリギリセーフ。
主人公の感情だけが『伝わる』ことこそが作り手が達成したかったことだ。
ふりかえって良く観ればちゃんと女の子の妄想としての作法も守られてるじゃないか。
(オナニーを男の子の前で“体の接触なしで”やったり)


筒井ともみ、やるなー
結果、観ごたえありました。
ベロニカは死ぬことにした [DVD]
posted by となーす at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月05日

市民ケーン




いまの世の中えらいもんで「市民ケーン」が動画でネット上に落ちてる

私は自分で言うほど大した映画ファンではないので、
この、世界の名作!を観るのはなんとこれが初めてなのである。

観終って、映画そのものの感想は正直、とくにない。(笑)


観ながら一番最初に頭に浮かぶのはやはりマーチン・スコセッシの名前だ。
スコセッシはこの名画をおそらく何百回、何千回も観たにちがいない。
ストーリーの運びからなにから彼の映画はすべて「市民ケーン」のリメイクと言っていいのではないか。それぐらいスコセッシの作る映画はこの名作に影響を受けている。
スコセッシに流れる血の80%くらい「市民ケーン」だ
ま、衝撃的だったのでしょう

初見で、今、観ると
この、若き天才の作品、
やはりどこか映画が
「若い」

映画の語りとして画期的、であったとしても
それを観る観客にとっては
エモーショナルな反応を喚起されるかどうかの方が問題なのであって、
そこのところで現在の視点から
逐一論じて行ったら、『おや?』という台詞も見つかるのではないか、と思う。
(個人的にそれをやるつもりはないけど)
それくらい手放しで神格化してしまってるきらいがある。

スコセッシがやっていること、というのは、この『市民ケーン』の語り口を生涯かけて、何度も作り直し、ブラッシュアップする、という作業なのかも知れない。


市民ケーン [DVD]








posted by となーす at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月04日

恋の罪


『恋の罪』観ました
佐野眞一のルポ『東電OL殺人事件 (新潮文庫)』シリーズを4、5年前に読んでいましたし、また『グロテスク』も読んでますので、
そのへんでも楽しみな作品ではありました。

しかし観終って
「うーん」
と。

途中、
「お金を介在させると、セックスの立ち位置がはっきりする」っていうセリフが出てきて、
おっ!と思ったんですね。
さすが!と。
こういう物事の価値についての議論は映画というメディアにピッタリだと思うんですよね

ルポで読んでいるときも、
『5千円ちょうだい』のセリフは凄くインパクトがあったんですよ、

さすが園子温、今度の映画はそこを掘るか!
と大期待したのですが、

最後まで観ると、『うーん』になった。

このラストは、『ブラック・ダリア』ですね、
もっとさかのぼると『さむけ』なんですけど、

ラストまで観終ったあと、映画を振り返ると『ブラック・ダリア』としか思えなくなる、という
残念な終わり、でした。


恋の罪 [DVD]
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2012年04月03日

インシディアス


ジェームズワン、最高!
もーうゆーことなし

おもしろいでっせえ、これ

ストーリーとかあらかじめ知らないで観始めたが、最初の方の家族の描写を見ているだけでドラマにすうっと引き込まれ、
そしてショッキングな出来事をきっかけにあれよあれよと〇〇〇〇の世界へ連れていかれて…ぐいぐいひきこまれる。

ホラー映画としての評価は
ほかの人のブログを探して読んでください。
ホラー、というジャンルは大変な本数が作られているわけで、このくらい面白くてもまだまだもの足りないファンの方は多い様子。

しかし、ジェームズ・ワンの監督作を頭から順に観てきた私にとって、
彼の最良の部分というのは、家族の描き方にこそある、と思っているので、
その部分の充実ぶりを観るだけで充分おつりがくるほど満足だ。

他の方も言っているように
「ポルターガイスト」とお話は同じ、
しかし、だからこそ、家族の絆を描くタッチの繊細さが際立つ。

前作、『狼の一』に比べてシリアスさが減ったぶん、彼の優しさが(とくに前半部)堪能できる。

こういう、サクッと作ってサクッと楽しく観れる映画なんか、やっぱいいよね。

インシディアス [DVD]


posted by となーす at 16:24| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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