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2012年06月07日

息もできない



この映画に主人公は2人いる。

この主人公2人が互いに心を通わせていくのだが、
その距離感が素晴らしい

この2人の間の距離感を正確に描くことに
並々ならぬ情熱をこめている、
そこにこの作家の品格を感じる

「悪人」と違って
この2人の間には最初から恋愛感情はないので
相手に『なんで話してくれないの?』などと
詰めよったりはしないのである。


終盤近くにある
漢江の河川敷のシーンが号泣ポイントだが、
この距離感を保ったままなのでまさに『共感』というより『共振』

この、女子高生役の女優さんの「ガマンしてガマンして他の人にずっと遅れてようやく涙をこぼす」芝居が絶品で、
彼女が泣くタイミングで観ているこちらも気持ち良く泣ける、という具合

このところ、似たような映画を3本立て続けに観たが
(「悪人」「その土曜日、7時58分」)
どの作品も根っこのところで描いているものは同じ、なのだが、この順番で観ると「この息もできない」という映画だけが『資本主義がもたらした“断絶”』の問題に
解答を提示して見せている。

“職業”映画監督と
“生涯でこれ一本だけ”映画監督の
これが違い、と言えるのではないだろうか

こういう人こそ映画を作る資格があると思う
てゆうか、こういうのだけつまんで観るのが
私個人としては理想。






ラベル:息もできない
posted by となーす at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他外国映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月06日

その土曜日、7時58分


巨匠の最後の作品と言うのは
「棺桶に入る前にこれだけは言っときたい」
そういうメッセージが素直に現れるものなので、
観れるものは観た方が良い。
確実に伝わってくるものがあるからだ。

ジョン・ヒューストンの最後の作品「ザ・デッド」など観た日にゃ
それまでヒューストンの映画に興味もなかったような人でも
それまでの彼の作品を全て見返したくなるだろう。

遺作というものが生々しく作り手の心をさらけ出すものだなあ、ということがわかる年齢になってからは
遺作こそが最高の映画体験、と言っても過言ではない、と個人的には思っている。


で、シドニールメットの遺作だ
ちなみに日本でこの作品が公開されたころはまだ遺作にはなってなかった
遺作と知って「観たい」という気分にようやくなった、というくらい、シドニールメットの映画は随分長い間、ぴんと来る作品がなかったのである。

観た結論は、

とても興味深かった。
ヒューストンの時のように、全作品観返してみたくなった。

この映画もまた、遺作らしく
冒頭から最後まで無駄な描写はなく
余計なことは一切いわない

この人はキャリアのほぼ全てを“社会派”として認知されてきた
だからこれは彼の観た“世界”の真実の姿なのである。


内容は一言で言うと
マネーが家族を完膚なきまで破壊しつくす物語だ

どんなふうにそれを描くのかは
実際に映画を観てもらうとして
(俳優陣は皆、素晴らしいが、特にイーサン・ホークは神懸かっている)

この断絶ぶりはすさまじい
親子の絆の崩壊ぶりを描くのに
「現金に体を張れ!」のあの手法、
同じ場面を多視点で何度も描く、あれを使っているのだ
これほどこのテーマにふさわしい語り口はあるまい。

しかし逆に言えばそのおかげで
とことん人間に絶望するとはこういうことか、と完膚なきまで知らされることになる。






posted by となーす at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月05日

悪人


登場人物たちのよるベない感じがたまらない映画です。
犯罪が起こる背景
主人公たちとその周辺
を丹念に描く前半がとくに素晴らしい。

重要な場面では俳優たちのセリフの中に、
きちんと「間」が作ってあり、
「この人はこの質問にどんなふうにこたえるのかな?」
と観客が考える時間をはさんでくれる
それから実際に登場人物の返答を聞かされるので
理解がぐっと深まる。
ことが起こりはじめたときには登場人物のことを我々はよく知っているので自然に映画の成り行きに興味を持続させている、というわけだ。




(ここからネタバレ)

好みの問題かも知れないが
最終的に美談と取れる話の締めくくりが不満だった。
(というか美談になっていると思うが)
その証拠に
美談を美談として描いていませんよ、というアリバイ作りのつもりか、描写のいくつかを省いている。

だからクライマックスの場面で
主人公“悪人”が見せる、意外な行動に「?」となる。

あまりに唐突すぎる。
前半での人物描写は
そんなふうじゃなかったじゃーん、もっと丹念に描いてくれよ
て、ゆう。

前半と後半はそんなふうにガラリ印象が変わったのだが
その、前半と後半の継ぎ目になる場所に
刺し身のイカの目のアップが出てくる

この「なぜにイカ?」という件は結構、いろんなところで話題になっているが、
私的には
あの
イカの目にズームイン→回想、
というながれは意外と好き。
イカ目線で「おまえたちはすでに死人」と言われてるみたいで(笑)

それも含めて結論として
観応えはちゃんとある映画でした。











ラベル:悪人
posted by となーす at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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