音楽ダウンロード

2017年06月26日

ハクソーリッジ

久しぶりに映画館で映画を観た。
振り返ると1月末の文芸座以来だ。

それだけ観たい映画がないからだが、最近はネットに上がっている評論や感想が膨大だから、それをいくつか読んで観た気になれる、というのもある。なんせ映画の中で起きる出来事は公開されてしばらく経つと全部情報としてネット上に出てくる。予告編も最近はだいぶ丁寧に説明しちゃってる。
実際の作品がそれらを読んだこちらが想像したものを凌いでいる感じがしないとわざわざ映画館に行く気がしない。そんなわけでいよいよ本数が限られるようになった。当たり前ですけど想像したのより下回る作品の方が多い。


それで行くとこの「ハクソーリッジ」はストーリーを頭から最後まで全部読んですぐその足で映画館に行っても大丈夫。
多いに笑って泣ける作品、と言っていい。
いや、実際にはストーリーを読んでは行かなかったけどね。
つまり、今作が描いているのは出来事ではない、ストーリーで説明出来ることではこの映画を観たことにはならない、という類の映画だった。

まず人間関係の描き方が、ありふれた言い方だが一面的でない。
ただ、一面的でない、というのは口で言うほど簡単ではなく、一般的に名監督と呼ばれている人でもこれが出来る人はすくないのである。
例えば黒澤明などは割と紋切り型のキャラクターを動かすのが得意で、あまり自分以外の人間に興味がない。これは宮崎駿などもそう。どちらが上とか下と言うことじゃなくそういう性質が大衆の気分に沿っているかいないか、の問題なのである。


人間を多面的に描く、というのは人間関係に多いに悩んだ人にしか出来ないのだと思う。

定石通り、主人公が戦場に行くまでの過程が大体映画の半分程度あるが、短いシーンでテンポよく見せる。どのシーンも本当に完成度が高い。
観た人ならわかるが、主人公が入隊した初日の場面など、人物を紹介しながら笑いがいくつも仕掛けられている。笑いとともに彼らの人となりが観客の記憶に残る。それもわざとらしくなく自然にサラリとやる。映画館でちゃんと笑いが起こっていた。
この点でも本作は大人の鑑賞に耐えうる一級品だが、まだある。

監督メルギブソンは主人公の英雄的行為を出来事を並べて描いているのではない。
なぜこの人はそれが出来たかを、まず自分が知りたがっている。自分の問題として。
その真剣さ具合がこの映画の見応えになっている。


途中、父子のやりとりのシーンが終わり、すぐ後に戦場の地獄を描く場面に変わるくだりがあるのだがそこは最高潮に泣ける。
シーンのつなぎ方で泣かされるなんて演奏(演出)が素晴らしいとしか言いようがない。作家の気持ちをまるごと見せられた気がした。


映画館で映画を観る体験を久しぶりに多いに堪能致しました。素晴らしいです。


posted by となーす at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
最近のコメント