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2017年08月18日

疑惑

これを前回観たのは月曜ロードショーの枠でだった。荻昌弘さんが終演後の解説で「大人が楽しめる一級の娯楽映画」と太鼓判を押していたのを思い出す。
おそらく私はそのころ10代だったが、たしかに無類に面白い映画を観た、との感想を持った。

あれから20年以上経ち、今回、再度見直したが、やはり無類に面白い映画だった。

ネタバレあります。

「鬼畜」のときに、この監督は解釈に幅を持たせるように作っているようだ、と書いたが、今作の桃井かおり演じる鬼クマの描き方などまさにその真骨頂と呼べる。
ラストはこの稀代のビッチ鬼クマの笑顔のストップモーションで幕を閉じる。
この笑顔を観る人によっては反省の色なし、悪党野に放たれる、と解釈するだろう。そのように受け取られるように幕を下ろしている。
たがよくよくドラマを追っていくと、鬼クマに将来の可能性がないことがわかる。
保険金は入らないことは確実だしホステスとしても全国的に悪評を轟かせてしまった、なにせ子どもに指をさされて「お前が殺した!」と法廷で叫ばれたのだから。
残りの人生を社会的信用をどん底まで落とした状態でスタートさせなければならない。
その前提で観るとラストの電車のシーンは見事で、車窓から大衆に目に晒され、逆にアッカンベーをやり返すが、電車が走り始めると、不安げな表情になったあと、カラ元気の笑顔でタバコを吹き上げる。
彼女が孤独に弱いことは観客にすでに提示されている。つまりこの女の微かな不安げな表情を観客は見逃さないようにすでにフリはなされているわけだ。桃井かおりの表情だけを追った長い長いカットの間、このキャラクターの頭の中を観客は想像する。我々はこの女の半生を見せられたばかりだ。電車に乗った人が考えることは大体決まっている。行く先(未来)のことか今しがた離れた場所(過去)のことかだ。
鬼クマが体を起こして笑顔を見せたとき、力強さや爽やかさを観客が感じるのはこのような理由による。
つまりこの女の行動原理の秘密が最後の最後、僅かな尺の芝居で観客だけに明かされたのである。これはそういうラストだ。


長台詞の応酬が大半の法廷劇の映画だからこそ、この無言のラストが際立つ。


野村芳太郎のフィルモグラフィーでは今作は最後の方に位置する作品のようだ。
長いキャリアの終盤に相応しい素晴らしい作品だった。








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2017年08月17日

鬼畜

山田洋次の後は師匠格の野村芳太郎作の本作。

ネタバレしますよ


すげえ面白いんだけど前半と後半で違う映画になったみたい。
多分前半が松本清張原作パート、後半は監督の創作、という気がする。
父子が二人で旅をする展開は「砂の器」もそうだったし。
観終わったあと、ネットでいくつかの批評や感想を読んだが、ラストの解釈が人によって違う。

私はあのシーン。緒形拳が子どもに見捨てられた、のだと読む。

面白いのはこの作品、最初から解釈に幅を持たせるように作っている。
印象的なのは、末っ子がご飯をおもちゃにして食卓をメチャクチャにし岩下志麻から激怒を買ってしまうシーン。
岩下志麻はあの出来事をきっかけに子供たちに殺意を抱くようになるのだが、あのカット信じられないくらい長い。可愛いから観客にとってはメチャ癒やされる。
芝居巧者の主演二人は、感情の流れをこれ以上ないほどハッキリ観客に伝える。子役が今ほど上手くないのにダレないのは周りが上手いからだ。長い癒しカットのあと、ガッツリ本線のドラマに引き戻す岩下志麻が素晴らしい。昔美人だったからこそプライドが傷つけられたのが我慢できない。セリフやシーンで説明されないバックボーンまて想像できる芝居をしている。物語の都合上、子役の場面が多い分、セリフ以外で伝える情報量を多くしているのだろう。

それから、緒形拳が青酸カリ入りのアンパンを子どもに無理矢理食わせようとしていると若いカップルに見つかるシーンが良かった。おそらく嫁と自分のかつての姿を思い出したのだろう。緒形は我に帰って大泣きする。若いカップルに見つかる方がその辺を歩いているおっさんに見つかるより情けない。こういうところがこの映画、ちゃんとしている。

ラストの解釈は子役の表情からではなく、それを受ける緒形拳の芝居から読み取れば明らかで、緒形拳は自分にとって最後の理解者を失ったのだ。絶望を演じる緒形拳の説得力たるや半端ない。




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2017年06月29日

湯を沸かすほどの熱い愛

全体的には良かった。
多いに泣かされたんですけど、
ちょっと最後は“泣き”の重ね過ぎな気がします。

今回はネタバレ注意です。




あの、最後のオチ。
普通に一回観ただけだとちょっと座りが悪かった。
座りが悪いはまだ良い言い方で、悪く言うとちょっと下品な気がした。

観終わってしばらくすると、なぜ座りが悪いのか分かった。
あれは「母ちゃんには入るべき墓がない」、というところを指摘する場面がないからだ。

もしかしたらシナリオにはあったのに完成品では削られたのかもしれないが。

この映画、実の母親に捨てられるエピソードが三つも出てくる。まあ、劇中語られはしないんだが、アムラー世代に「できちゃった婚」ブームがあった。可哀想なのはブームの頃はすでにバブルが崩壊していたことだ。
その頃から確かに15年くらい経っているから、こういう境遇の子も私たちが知らないだけで結構いるのだろう。
その前提が私は観ながら気がつけたけれど、さすがに墓のことは鑑賞中には思いつかなかった。

その2点を劇中に指摘するシーンがあれば、ラストのオチは反骨的な良い着地になったと思う。




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2017年06月26日

ロッキー4/炎の友情

「炎の友情」とのサブタイトルはよくつけたもので、4になるとロッキーの最大のテーマ“生活苦”が跡形もなく消えている。「ロッキー」シリーズに非ず、今作は潔くシルベスターは世界一強くてしかも友情も大切にするカッコいい男を目指す物語だ。

実際ここでのシルベスターはシリーズ中一番のイケメンに撮れている。場面によってはアルパチーノそっくりの表情をする。


”生活者”の側面をバッサリ切ってひたすら「カッコいい」に貢献するある意味ストイックな作品になっている。

シリーズ中「4」が一番好き、という人が結構いるのはこの理由による。


前作「3」と同年に公開されたのが「ランボー」。確か日本では「3」が夏休み、「ランボー」が年末お正月興行だった。

「ランボー」は日本では当たったが、本国ではソッポを向かれた。ベトナム戦争後遺症映画はすでにアメリカでは飽きられていたのだ。その反動がおそらく「4」の制作態度に現れているのだろう。


話は変わるが敵役のドラゴ。今観ると、なんというモッサリした動きだ。ビジュアル的にオカダカズチカっぽいのでもっと動けるやつかと勝手に思っていた。

素人感がすごい。


クライマックスの試合で見せるシルベスターの肉体美がハンパない。


この時代は生活苦を抜け、上昇志向一辺倒の時代だったのだなあ。

ラストの演説だって、上昇志向の気分をよく表している。










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2017年05月17日

FAKE

この映画の評判のおかげで本家の「オーソンウェルズのフェイク」もDVDが再発されるみたいだ。ありがたい

私は一連の騒動をほぼ知らない状態で観た。
まあ、だから普通に良くまとまったドキュメンタリーだ、と。
世間からバッシングを食らった男がつましく暮らしをながら、再スタートを切る話。

ラスト20分で靴下が、とか、えらく煽られてましたが、さっぱり意味がわからなかった。

ただ、あの曲、えらくスケールがでけえな、と若干の違和感を感じたくらい。
この人の心の叫びを曲で聴ける、と思って待ち構えていたら、イメージと違う荘厳な“宇宙創造”みたいな曲が流れてきた。
この映画を締めくくる劇伴には全くそぐわない曲だった。
その後にやってくるのが呆気に取られるあのラストだ。


何か違和感はあるが、それだけで
町山さんがラジオで公開前に興奮気味に喋っていた感じと、まるっきり私の印象がかけ離れている。
こりゃいかん。情報が足らないようだ。

一応、ネットに落ちている情報をいくつか読んでみた。なるほど、と納得したところもある。

これは、佐村河内氏の見てもらいたい自己イメージに100%寄り添った体のドキュメンタリーなのだろう。

確かに我々が普通に考えたら、一番興味があるのは奥さんですよ。でも、奥さんの感情的なリアクションを見れる場面は断片的で、だからあの曲で聴いている奥さんの方を大フィーチャーしていたのか。と一個謎がとけた。

でも町山さんの興奮までは理解が全然届いていない。

もう、お手上げです
町山さんのMP3映画評を買うしかありません笑

そんなわけで、この映画。
素で観ても、筋が一応通っていて理解は出来る。
でも、実際の顛末を知っている人とでは観ている場所が全然違う。
ちゃんと楽しみたい人は関係者の著書など目を通してからの方がいいです。











posted by となーす at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月27日

ディストラクション・ベイビーズ

カットが長い映画が出てきてうれしい。
北野武の「龍三と七人の子分」のときに少し書いたが、役者のテンポでなく、観客にとって気持ちいいテレビドラマ的な短いカッティングでベテラン俳優のセリフをバシバシ切って間を詰めて行くやり方は映画にとって命とりだと思う。なにを観ても漫才師的なボケ突っ込みが映像表現を侵食している。


今作の主人公はケンカが強いのではない。
ただ体が頑丈なだけだ。
自分の頑丈さを試したいだけのために相手構わずケンカを売る。
体が頑丈、を表現するのに、カットを割らずに延々と取っ組み合いを撮っている、意味がある長回しだ。

複数の相手に殴られたあと、立ち上がる、下半身の強さがその度印象づけられる。

今作は、その頑丈さだけを映画の真ん中に据えて、揺るがない。

今の若者も社会も荒れ果て切っているのが今作を見るとよく分かる。
主人公たちが車中で空間を共にしていながら、コミュニケーションがまるで取れない様が描かれるが、このくだりだけで社会がとうの昔に機能不全に陥っているのが分かる。

機能不全に陥って久しい社会で、若者たちは、人生の青写真を描くことも出来ず、刹那的な快楽を行動原理にする。
ま、ここまでは映画のある種得意分野で、若者たちの刹那的快楽を描いた作品などこれまで山のように作られてきた。

この映画は、若者の財産は、その壊れ難い肉体である、と特定しているところが特別なのである。

この監督は、若いのにジャンル的な物語の閉じ方をせず、真っ当に信念をぶつけて来た。
前回の三池ではないが、昨今の日本の映画監督が陥りがちな、スタッフを食わせるためにマンガ原作を毎年作り続けるサバイバル術などを身に付けずに、このまま映画を撮り続けて欲しい。
去年観ていたら、ベスト3に入れていたと思う。それほど個性的で他で見られないメッセージを発する映画だった。






posted by となーす at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

テラ・フォーマーズ

なんとなく見始めたら、結果最後まで観てしまった。三池作品の8割方は途中で観るのを辞める私なので割と面白い方だったのだと思う。

終盤の注射打ちながらの戦闘シーンは面白く観れた。ケンカは祭りだ。シャブでもっともっと上に行こうぜ、的なノリが、少年漫画の強さのインフレーションと、意外なマッチングを果たしていた。

Vシネマからキャリアのスタートを切った三池の目には原作漫画の本質がこのように見えたのだろう。
原作漫画にさして思い入れもない私には割とよく出来た映像化に見えたのだが、原作ファンには、身も蓋なく見えたのかもしれない。

しかしまあ、この人の映画は辛辣だなあ。
割とベテランの俳優たちが、ハッキリ言って“おバカな”衣装とメイクで真面目な芝居をやっているのを正攻法で撮っているんだから。
『スキヤキウェスタン』のころは、照れ隠しでギャグを入れてたのに、今作では照れの要素がない。
それ故、画面上で起こっているコントもどきの異常さが剥き出しでこちらに現れてくる。
芸能人という因果な商売を、今作にならって言えば“虫”のように見つめる視点がある。
大量に映画を世に送り出してきた彼の今の心境か、と思うと味わい深いものがある。

この映画で芸能人に憧れるちびっ子などいないと思う。
そういうことを確信犯的にこっそり匂わせて、気づかせようとしている気がする。
まるでヤクザがカタギの子供に、『こっちにくるな』、と目線だけで示しているような。

そういう気分で撮られた作品は、必ず観客に伝わる。上手くバレないようにやってはいるのだろうが、興行で失敗したのだからバレている、ということだ。当然だろう。
そろそろこの人引退するんじゃないだろうか





posted by となーす at 16:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月13日

ヒメアノ〜ル

久々の更新です
格差社会の負の部分を体現した殺人鬼を演じる森田剛が素晴らしい。

以下ネタバレ



文字で読むと、何というベタな締めくくり!なラストなのだが、セリフはベタなのに森田剛の役の人物への愛情が感じられて不覚にも泣かされてしまった。
こういうのを豊かな芝居と、いう。

今年はいい映画がいっぱいあったんだねー

posted by となーす at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月24日

Zアイランド

netflixで観ました
明け方からぼんやり見始めたのに、結果、最後まで観るのをやめられなかった笑

いやいや、おもしろかったすよ
『アイアムアヒーロー』の100倍はおもしろかったす

これだからネットの感想は当てになんねー笑

ここからネタバレありまくり。

ラストがいい。
漁船から大音量で流れてくる湘南の風の曲に向かってゾンビが海に飛び込む
これ、最高に皮肉が決まってんじゃん笑
『ショーンオブザデッド』以来の会心のオチじゃないすか笑

ゾンビ映画が意外なことに品川のパーソナリティと相性がバッチリで実に味わい深い一作になっていた。
芸能人生において、完全に息の根が止まったかと思われたタレントに復活されて寝首をかかれる、とか、モブに襲いかかられる、とか、ゾンビ映画にたとえられるような思いをしたのかもしれない、そういう実感が薄ーく乗っている。

確かに出来の悪いコントまがいのシーンはある。
なかでも、あの、悪評高い、電話のシーンなどはネットでの評判通りのひどさで、観ているこちらの方が恥ずかしくなってくるほどだが、
しかし、特筆すべきは、俳優たちの楽しげな演技で、品川ヒロシは俳優たちになにをやらせると輝くか、研究しているのがよくわかる。
こういう映画監督は俳優から愛されるものだ。
毎シーン毎シーンいちいち細かいセリフギャグが入るのもノイズっちゃーノイズだが、俳優たちと品川のじゃれ合いだと割り切って観ればいいだろ。



“ゾンビ”という呼称を使うか使わないかなど、観る側からすると割りとどうでもいい話なのに、生真面目にリアリティに沿おうとして、こだわって逆に見苦しくなっている。もう一人手練れのシナリオライターがいて、リライトするなどすれば良かった。


脚本を誰かと共同で書き、もう少し叩いてから撮影に入ってくれたら、信頼に足るフィルムメーカーにこの人はなる、と思う。

鶴見辰吾の家族の顛末は、お世辞抜きに素晴らしかった。多いに泣かされましたよ。
回想シーンでの子役が実にいい表情だったし。

品川ヒロシが憧れるタランティーノには、私はいい加減愛想が尽きてるが、品川ヒロシの映画は伸び代がまだまだある。
子役の演出の上手さなど片鱗はそこここに見えているじゃないすか。

子役を前面に押し出したエンターテイメントなど手掛けたら大化けするかも。


今後は擁護派に回らせていただく。




posted by となーす at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月07日

君の名は

新宿バルト9で夜中の回を観てきました
携わっている人たちの思惑が結構バラバラな印象の作品で、そこが面白かった

以下ネタばれ含む

ラストは何で手のひらを見せ合わないのだろう?

キャラクターたちの芝居をつけている作家と映画全体を演出している作家と、両者の感動するポイントが違っているのでは?という思いが最後まで抜けなかった

男女の意識がすり代る、という設定。
これは少女の芝居を描く男性アニメーター自身の投影と見てとれる
聞くところによると、実際ジブリ出身の作画監督だという
そういう人の作品だからこそ、手のひらにマジックで何事かメッセージを書く、という一見ベタな演出にも、思いが乗ってこちらに迫ってくる
絵を描く人は手にいろんな記憶が宿っているのだ

見てると、男の子の主人公は大して活躍していなくて、新聞記事を読んだり、現場に足を運んだり、という“取材”レベルなのも面白い

この映画は誰もが思春期に大好きだった何かしらの記憶、について描いている、と思う、というか中盤までそういう風に思われた
だから、大好きなものの記憶がなくなりそうで涙を流して悶絶する主人公の姿に涙した、手のひらにマジックに描きかけって切なすぎる。

私にはこの場面が一番のクライマックスで残りはだいぶ長い蛇足だった

結論として、こういう、クリエイターたちが“思い”を乗せられる道具立てを揃えたストーリーだった、と言える

観る側としては、ジブリ作品で散々観せられてきたストーリーの反復で、後年相対化させられた後では、なぜあんなにヒットしたのだろう、と首を捻られる作品だと思う。
あなたとはどっかで会ったことがある、ってセリフは『千と千尋』でも聞いたし、『ハウル』でも聞いた。
だが観客はそれが好きなのである、結局。
そしてジブリ作品の少女が大好きなのである。


宮崎駿が引退した今、鈴木敏夫が言う“高そうな絵”を描く新海を駆り出して、宮崎アニメの新作を組み上げた、というザックリそういう作品だが、クリエイターたちが力を発揮するポイントを見誤らなかった。

プロデューサーの映画でした
お見事

観たばかりで支離滅裂です、すみません
後で書き直すかも、です
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2016年09月20日

ももいろそらを

netflixにこの人の映画が2本ともラインナップに追加されたのでまだ観てなかった今作を。
とくにこの作品はtsutayaなどに置いてないので、購入するかしないか迷ってたところだったので助かった

『ぼんとリンちゃん』と同じく、アメリカンニューシネマの風合いで女子高生の日常を追った作品で、大変楽しめた

映画っていうのは、コミュニケーション能力の高い人の作品と低い人の作品とがあるなあ、と思う。映画に限らないが。
基本的にエンタメの多くは低い人のために作られるものがまだまだ多い。
まだ観てないけど今話題の『君の名は』なんてそうなんだと思う。

この映画はどちらかというとコミュ力が高めの人向け。
普通の映画だとカット割りでリズムの緩急をつけるところがこの作品だと会話のリズムがそのまま映画のリズムを作っている
要するに手がかかっている

最近の映画はどれも過去作のどれかに似ているものだが、それはカット割りなんじゃないか、とすら思う
しかしこの映画はセリフのリズムが主導権を握っていて、カメラ位置やカット割りはそれに準じているのでオリジナリティが結果立ち上がってくる

新聞のコラムを任された主人公がカメラ片手に町をうろつくが結局、なにも面白いトピックが見つからない、というシーンがあるが、映画のテーマを端的に示していて面白かった

『シンゴジラ』は芝居のリハーサルに時間をかけられない有名俳優をとにかく通常の2倍3倍で喋らせて、カット割りでリズムを作っていた、それはそれで発明だがおかげで過去作のどれかに似ている、という印象からは逃れられなかった、ように思う

なにが言いたいかというと、有名俳優を制作費集めにしていると、映画はどんどん不自由になって面白くなくなるぞ、と。

ちなみに『ぼんリン』も再見しました。
改めて『スケアクロウ』だなー、と。
終盤の秋葉原の街を彷徨う主人公のシーンは、背景が70年代のニューヨークに見える



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2016年08月08日

シン・ゴジラ

ネットで大評判のようで
ほぼ9割の人が褒めているので
DVDが出るまで待つつもりだったのに観に行ってしまいました

ここから先はネタばれなので
映画を楽しみにしている人は読まないでね


一番観てて私的に盛り上がったのは品川駅の踏切近くに現れたゴジラが、あの昔から建っている古い公団を破壊するところ。
今あの公団に住んでいる人たちはなかなかプレミア感を感じられるだろうなあ笑

前半はそんなふうにゴジラが次は何を壊すか、ワクワクしながら楽しめる。東京に住んでいるからこそのワクワクだ

カメラのフレーミングも帰ってきたウルトラマンの第1話を思い出させてとにかく楽しい

前半で地面に近い目線から、ヘリでの攻撃のシーンでカメラが空からの視点になる気持ち良さ
そういうのがちゃんとしてる

ただ、やっぱりこの映画は“今”とつながる回路がないんですよね
言い方を変えると、観客に刺さる言葉や、いまの観客の生活と事態を繋げるようなシーンがない
官僚を主人公にしているからこそのこれは欠点なのだろうと思う
だからと言ってここに14歳の少年が混じっていれば観客に刺さるセリフが出て来ると言うもんでもないが

だからたぶんそんなにお客さんは入らないんじゃないかな
おっさんたちのための映画ですからおっさんは楽しめますよ

最後、ゴジラのやっつけかたが面白かった
あれ、作者が子供のころに思いついたんじゃないかな笑
ゴジラの周りにミニカーを並べるとか、みんなやったからね







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2016年07月28日

きみはいい子

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素晴らしいです

評価が高いのは知っていたのだけれど
前作がイマイチだったので、なかなか手が出なかった
見始めてしばらくは、パソコンの画面の端に流しっぱなしにしてネットサーフィンなどしながら観つつ、
あー、日本て本当に駄目な国になったんだなあ、とか思いながら、
尾野真千子が娘をパンパン叩くシーンも長すぎて不快だわ、とか
とにかく、不愉快な気分にさせられっぱなしで
途中で観るのを辞める機会を探るようなモードになってしまっていた


しかし、
丁度半分くらいのところで
登場人物たちにそれぞれ癒しの瞬間が訪れる辺りから、
涙が止まらなくなる

一応、ストーリーは最後まで知っているけど、実際に観ると、癒しの瞬間までの運びが見事で、作者の思うがまま泣かされる

幕切れの呼吸も素晴らしいの一言



ちなみに前半の不愉快さを唯一救ってくれるのが、池脇千鶴の屈託のない明るい表情の芝居で、こんな振り幅の大きい役が出来るなんて本当すげえな
こういう仕事、達成感半端ないだろうな笑


前作はひどいこと書きましたが
今作は日本人全員に観て貰いたい気持ちでいっぱいの大傑作と思います
傷ついた日本人全員をまるごと癒す、力のある作品です

これを観たら山田洋次はなんていうだろうか、誰かインタビューして欲しいな笑


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2016年06月29日

罪の余白

娘の自殺にいじめが関与している、と疑念を抱いた父親が同級生の女子高生を追いつめていく話

最近の10代や20代はやたら芝居が上手い
神木隆之介など天才子役がいたからレベルが上がったのだろう
この映画なども若い女優の芝居の上手さを愛でるための映画と言える

以下ネタバレあります



物語の中で悪役の女子高生の知性を際立たせるために、親父が馬鹿に貶められているきらいがあり、そこがちょっと残念だった。
娘を失ったショックで酒びたりになることで悪役に隙を自ら作っている。

物語のある時点で娘にダブルバインドを仕掛けた、と主人公が確信するシーンがあると良かった、酒を飲んでストーカーまがいにあちこち探るくせになにも手がかりを掴んでない風に見える

あと、悪役の女子高生が常軌を失う主人公に性的な誘惑を匂わせる場面もあるのに、
主人公が酒飲みすぎで、それに気づかない。(DVDジャケに使われている、唇に指を当てる場面)
あそこはもったいなかったな笑
絶望からつい、悪魔の誘惑に屈しそうになる、みたいな揺らぎが見たかった

観終わってからあれやこれや気になるとこはあるけれど、お芝居だけでちゃんと最後まで観られたのだから良作と言える



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2016年06月20日

クリーピー 偽りの隣人

北九州事件のノンフィクションを読んでいたこと、今週末のムービーウォッチメンの課題作であること、この2点で観に行きました
正直言ってこの監督の作品で感心したものはこれまで一本もない
興味の大半は北九州事件の主犯を黒沢と香川がどう描くか、である

香川照之という人はどんな作品に出ているときでも小物臭が抜けない俳優だ、と常日頃思っている
『贖罪』といい、『半沢直樹』といい、ラスボス的な役を演じることも多いが、人物を演じるというより、ドラマの上での役割を演じている人だな、と

今作を観終わって、そんな香川照之の印象はこれまでとあまり変わらなかった


ここからネタバレ




それぞれのシーンでこの人物は常に
意外な行動や珍奇なふるまいはするが
映画全体としてこの人物は思慮が深いのか足りないのか、結局分からない

この映画の最初の方でオマージュを捧げている『セブン』の犯人像と比較して大分、【哲学】がたりない造形になっていた

珍奇なふるまいの引き出しがいくつもあって、それをシーンの要求に従って出している、そういう俳優さんだと思う

これだけ出まくってりゃこういうこなし方になるよな。

この映画、犯罪心理の研究をメシの種にしている主人公にしていながら、犯罪心理に迫らないし、ラストで主人公の妻が犯罪心理の内側に落っこちてその記憶に慟哭するという話のくせに、手つきはおばけ屋敷映画で、終盤で地下の秘密部屋が出てきたときには思わず声を上げて笑った
デカすぎる掃除機とか!

この作家はおそらく人間にはあまり興味がないんだと思う
おばけ屋敷にいかにして観客を誘うか、に力点が置かれている
だから、観終わって、世界で一番怖いのは人間の心だ、という印象は持ちにくい作品だ。
パッケージはそんなことを匂わすのに笑


とはいえ地下の秘密部屋が出てくる前までは結構楽しめましたよ
恐怖のメロディ的な手つきが楽しかった
大学の研究室のシーンで窓の向こうにいる学生の一人が室内の会話の絶妙なタイミングで振り返るとことか。あれ最初に出てきた犯罪者と同じ俳優でしょ?

まあいろいろ不満はあるけど料金分は楽しめました


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2016年06月16日

人狼ゲーム クレイジーフォックス

人狼ゲームなんて生まれてこのかたやったこともないが、和製ホラーがただ無性に観たくなって適当に選んだ内の一本にこれが入っていた
シリーズ3作目、ということみたいだが、前2作も観てない、その上ルールもよく把握できないまま、最後まで面白く観てしまった笑

どうして楽しめたか、と言えば、それは芝居が良かったから、という他ない。
よくある『ソウ』パターンの絵空事殺し合いの映画なのだが、演じている俳優たちが真剣にやれば見応えは作り出せるという見本。
『アイアムアヒーロー』はなぜこういう感じにならなかったのだろう




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2016年05月23日

復讐するは我にあり




初見です

ラストが
意味不明だったが(死んでも迷惑かけちゃるばいってこと?)
三国連太郎と緒形拳の対比がなにしろ素晴らしい
ラスト近く、二人が面会室で対峙するシーンは思ってたより短めだったがとにかく憎悪が凄まじく見応えがある
前半にかつての親子のシーン、主人公が幼かった頃の、が少しあるのが効いている

ただ、主人公の無軌道な殺人には一貫したものがなく、わずかな金銭のために殺したり殺さなかったり、なもんだから、清川虹子とのやりとりにはあまり緊張感がなかった
実話とはいえ、主人公の実家も旅館だし、転がり込んで一家を破壊する先も旅館業だし、場面が紛らわしいのもマイナスで
主軸の親子以外の場面はセックスや覗きと煽情的なだけの退屈なシーンも多い

九州繋がりで最近読んだ北九州監禁殺人事件のノンフィクションを思い出したが
あの犯人も弁が立ち人に取り入るのが上手いとあった、この映画の主人公と重なる。

最後に映画のオープニング、あの始まり方は好き
警察車両が山道を一列になって降りてくる画がブチっと中途半端に始まる
只事じゃない感じにファーストカットだけで掴んでくる笑



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2016年01月12日

ビリギャル


これ、2015年ベストっしょ笑

少ない本数でベストなんか選ぶべきじゃないすね笑

なるほど大多数の日本人にとって『受験』は原風景ですよ
誰もがルールを知ってる競技で、参加したこともある
そして家族にとっての一大イベントでもある
そういうことを思い出させてくれて、なおかつ『大学受験』って文化、なかなか良いものなのかも、とまで思わせるのだから、すごい

映画を観るまえからストーリーの発端から結末まで全て予測可能で、全くその通りに進行するこの話で勝負どころは俳優陣の芝居と節目節目でいいセリフが出てくるか、になると思う
何しろ先の展開が分かっているわけだから
試合を放棄しない説得力が節目節目で必要でそれが寒ければ一気に観客の心が冷めるはずだ
観客の側に関所があってそれを映画が越える様を観る、という映画なわけだ

結果、最後まで楽しく観れた
途中、主人公が大きな壁にぶつかって、立ち直るくだりで、『ロッキーザファイナル』と似た展開になったときは何故か嬉しかった笑


久々、相手を問わずオススメできる映画。
テレビでやっても視聴率が取れそうな優良コンテンツ。
毎年のように放送される様が目に浮かぶ


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2015年09月22日

ソロモンの偽証 前編


面白い
テーマがいいから面白い映画、というやつだ
『桐島部活やめる』がヒットした後に似た感じの映画を製作する、となったときにこの小説を探してきた人が偉い笑

映画の途中、主人公のセリフで
目の前で同級生が死んだのに、自分たちは宙ぶらりんのま
ま、ほったかされた、というのがある

いま、国会前でデモやってる人たちにバッチリ重なる映画から外に飛び出す力を持ったセリフだ

いま、これを書いているのは前編を観終わった後だが
伝え聞くところによると後編の評価はあまり芳しくない笑
だが前編観終わった後の高揚感は「赤ひげ」に匹敵するか、それを凌ぐ。

この映画、前後編に分けて公開したことがかえって大きな効果をあげていたのではないだろうか

時代の転換期を象徴する日本映画として後年振り返られる作品であることは間違いない






posted by となーす at 06:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画(おすすめ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月11日

ぼんとリンちゃん


今週の『伊集院光のtsutayaに行ってこれ借りよう』のゲスト山本晋也が勧めていたのがこれ

全然知らないタイトルだったが調べてみると結構な数の賞を獲ってるんですね

で、中身ですけど
いや、いーすよ、これいーす
ワンカット長回しのシーンの多さにも驚くが、主人公のセリフ回しのテンポがそのまま映画全体のリズムを作っている、その構造がすごい
これはアメリカンニューシネマですよ
と思ってたら『スケアクロウ』みたいなシーンがあったりして。

もう、私の大好きなタイプの映画でした。
主人公がしゃべり続ける、ということは逃げ場がない、ということですよ

ストーリーでなんとなく映画が最近多すぎる、この映画みたいに、人が出てきて見てる間にその人の気持ちが分かって表情のちょっとした機微を見逃したくない、てところまで自然に到達する、そんな映画が好きですよ

引き合いに出すのもアレだが、山下敦弘なんかより、ずっと好きな作家です
ていうかこれしか見てないですけど笑
こりゃ前作絶対観ますな



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